文殊仙寺の奥之院では、比叡山延暦寺で1200年間絶やさず灯され続けてきた 「不滅の法燈(ふめつのほうとう)」が今も、大切に灯し続けられています。 日本天台宗を開いた伝教大師最澄様は若いころ比叡山にこもって修行し、 788年に「一乗止観院(いちじょうしかんいん)」というお堂を創建されました。 そのとき自ら刻んだ薬師如来像を安置され、仏の教えが永遠に伝わるようにと灯明を供え、 「明(あき)らけく 後(のち)の仏の御世(みよ)までも 光つたへよ 法(のり)のともしび」 とお詠みになりました。 一乗止観院は延暦寺の総本堂として「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」 と呼ばれるようになり、現在に至っています。 最盛期には何千もの寺院が並んだ比叡山ですが、長い歴史の中で何度も苦難に見舞われました。 危機の度に灯火は僧侶らの手によって守られ、分灯で受け継がれ、 今も根本中堂にある3つの灯籠の中で「不滅の法燈」として光を放っています。 不断の努力で灯を守ることは、法華経の教えを表す光が世の中を照らし続けるようにという 伝教大師最澄様の教えを長く後世に伝えることを意味します。
文殊仙寺では六郷満山開山千三百年祭に際し、比叡山より特使をお迎えし、 大勢の檀信徒さまに見守られながら不滅の法燈の分灯をお受けしました。 恒久的に不滅の法燈をお守りするのは六郷満山では初めてのことです。 「油断」という言葉の由来であるように、毎日まさに油断のないように心掛けて菜種油を注ぎ足し、 寺宝として護持いたしております。